イギリス(英国)のEU離脱を巡ってイギリス国内では与野党の激しい攻防が続いています。
欧州議会選に関する最新の英国世論調査で1か月前に誕生した新党のブレグジット党が支持率でトップになったという調査結果が出ました。
与党でも野党でもなく、新党のブレグジット党が支持率で首位になったことで混沌を極めそうなイギリスですが、EU離脱はどうなるのでしょうか?
この記事では以下の点について考えてみました。
・イギリスでブレグジット党が支持される理由
・イギリスのEU離脱はどうなる?
冒頭でも紹介したように1か月ほど前に出来た新党です。イギリスの早期のEU離脱を掲げていて、2016年の国民投票で決まった「EU離脱」という結果を迅速に実行しようというのがブレグジット党の方針です。
2016年の選挙結果に応じるというスタンスの政党であると言えます。
記事でも紹介されていますが、ブレグジット党を率いるのは右派・英独立党(UKIP)の元党首でEU懐疑派を主導するナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)で独立党の第5代目の党首としてもイギリス議会で発言してきた政治家です。
一度は表舞台から姿を消したように思えましたが、ここにきて存在感が増してきているように思えます。
演説の名手とも言われ、批判を恐れないスタイルがネットでも好評のようですが、一方で発言が問題となり罰則を受けた経緯があるなど諸刃の剣とも言える攻撃的なスタンスでもあります。
誕生してわずか1か月の新政党が支持率でトップになるのは珍しい事ではないでしょうか?確かにイギリス国内はEU離脱を巡って混沌と化していますが、ここまでの勢いがあるのは異例とも言えます。
欧州議会選に関する世論調査であるとは言え、政府与党と最大野党を抜いて支持率で首位に躍り出ることが出来た理由は3つあると言えます。
ブレグジット党が支持率トップに躍り出た理由として与党側である保守党に支持者からの不満が高まっていることがあります。
与党である保守党はEU離脱が国民投票で決まったにも関わらず、EU離脱を目前にして離党者の増加や結果通りに進まないことに支持者からの不満が高くなっていると言えるでしょう。
このままEU離脱が遂行されなかった場合、2016年の国民投票は一体何だったのかとなってしまいます。メイ首相は現状のところ、保守党をまとめ切れているとは言えません。
ここまでイギリス議会でもEU離脱交渉案が大差で否決されるなど統率力に欠けていると思われているのが筋ではないでしょうか?
イングランドと北アイルランドで行われた地方選で1334議席を失うなど国内での支持が失われているのは明白です。
与党側である保守党に不満が高まっているだけでなく、野党側にも不満が高まっていることもあります。
残留派の人は最大野党である労働党を支持しているかと言うと必ずしもそうとは言えないでしょう。野党側でも離脱者が出ており、EU残留に向けて一枚岩になっているわけではありません。
イングランドと北アイルランドで行われた地方選で労働党は80議席を失いました。その一方でEU残留を明確に表明している自由民主党は703議席増えるなど野党内でも明暗が分かれることになりました。
最大野党である労働党が保守党からの受け皿になるどころか、労働党の支持者が他の野党に流れていると言えます。
EU残留派の野党内で支持が分散しているのもブレグジット党がトップに躍り出た要因の1つと言えます。
イギリスは長く2大政党制を維持してきましたが、EU離脱を巡っては機能不全に陥っているのではないかと思えてきました。保守党がダメなら労働党とチェンジという選択肢が今回のEU離脱を巡っては起こらない可能性が高くなってきていると考えれます。
欧州議会選に関する世論調査で、与党側である保守党が支持率11%で4位になっていることも問題ですが最大野党である労働党も支持率が21%で2位とどちらも1位ではありません。
労働党は2週間前の調査から支持率が7ポイント下がり、自由民主党が5ポイント上がり、12%になったということは労働党から自由民主党に支持者が流れている可能性が高いです。
保守党も労働党もEU離脱を巡っては無政党支持者の受け皿となることが出来ておらず、他の政党に支持が流れていると考えることが出来ます。
ここにきて保守党でもなく、最大野党である労働党でもなく新勢力のブレグジット党が躍進したことで先が読みにくくなりました。
EU離脱を掲げるブレグジット党とEU残留派の自由民主党が支持を増やしているということは2大政党である保守党と労働党の勢力が落ちている証拠です。
労働党は支持率が2位ですが、急速に3位の自由民主党と差が縮まっています。抜かれるのも時間の問題ではないでしょうか?
保守党に関してはもはや蚊帳の外です。
EU離脱交渉の期間が10月末まで延期されたことで一時的とはいえ「合意なき離脱」は回避されましたが、イギリスの先行きは全く見えません。
EU残留派が強くなってきているかと思えば、EU残留派の中でも支持が割れているなど必ずしもそうではなさそうです。
欧州議会選でEU離脱派の約2/3にあたる63%がブレグジット党に投票するということに対して、EU残留派の中で最大支持の労働党で31%と大きな差があります。
この差が10月末までにどう変わるかです。
イギリスのEU離脱を巡って離脱派と残留派が激しく対立していますが、EU離脱のメリット・デメリットをまとめてみました。
イギリスのEU離脱を2つの視点から考えてみたので参考にしてください。