今回はイギリスのEU離脱ので新たな問題が出てきたことについてです。
EU離脱を巡ってはイギリス政府とEUとの間で大きな壁があり、解決するのが難しい状況になっている中、イギリス領ジブラルタルを巡ってスペインと外交問題に発展する可能性が高いと報じられています。
イギリスのEU離脱とジブラルタルにはスペインの歴史と政治経済が関係していると考えられます。
この記事では以下の2点について考えたいと思います。
・イギリスのEU離脱とスペインの歴史の関係
・イギリスのEU離脱とスペインの政治経済の関係
イギリスのEU離脱を巡り、EUとの交渉が難化している中でスペインとの抗争が勃発する可能性が出てきました。EUだけでなくスペインとの争いまで起きるとなるとイギリスは予想外でしょう。
21日の夕方の記事です。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181121-00000032-jij_afp-int
記事によればジブラルタルの英領の島をスペインが領有権を主張して異議を唱えており、EU離脱協定案の中のジブラルタルに関する規定が変わらない以上、スペインは協定案を拒否すると書かれているので解決への道はいばらの道と言えるでしょう。
イギリス本土から離れたジブラルタルで外交問題が生じるのは現代の政治経済と歴史の2つが理由が影響しており、それらが入り乱れているために解決が困難になっていると言えます。
イギリスが支配しているリベリア半島南端のジブラルタルは1713年以降、イギリスが支配していると書かれていますが1713年に結ばれた条約が大きな意味を持っています。
18世紀初めの1701年にスペインの王室継承者を巡るスペイン継承戦争が始まり、フランス・スペインと神聖ローマ帝国・イングランド・オランダをはじめとするヨーロッパ諸国との間で戦争が勃発しました。
フランスのルイ14世のスペイン王位継承に対し、他のヨーロッパ諸国が阻止を図った戦争とも言えます。
スペイン継承戦争は1713年にユトレヒト条約で集結し、この時にイギリスはジブラルタルをスペインから獲得していて現在に至っています。ただ、スペインがイギリスに返還を求めており領有権を巡って300年以上対立しています。
スペインの見解は1713年のユトレヒト条約でイギリスに軍事施設や城・港などの所有と利用は認めたが主権は認めていないとしており、主権はスペインに現在もあるとして返還を求めています。
18世紀初めのスペイン継承戦争が現代にまで大きな影響を及ぼしている要因として存在しています。
スペインが国連に加盟後、ジブラルタルの領有を巡り提訴するなどイギリスとの対立は激しい時代があり第2次世界大戦後以降も継続していると言えます。
現在もイギリス領ですが、島の周囲から多くのスペイン人が出稼ぎに来ていることもあり経済的にもスペインが大きな影響をもたらしていると言えます。
イギリスのEU離脱を巡る国民投票ではEU残留を支持する住民が大多数を占めたと書かれているのでイギリス本国とは違い、EUに加盟していることのメリットが強い地域だと証明された結果となりました。
イギリス領であるもののジブラルタルはEU加盟国のスペインの影響を大きく受けている地域で出稼ぎに来るスペイン人がいなくなると経済がボロボロになることが予想されるのでEU残留を選んだのだと思います。
地理的な条件も加わり、ジブラルタルは経済面の問題からイギリスとスペインの間で外交問題に発展していく可能性が非常に高いと言えます。スペインの後出し感は否定できませんが、イギリスにとっても見過ごすことは出来ない問題です。
ジブラルタルはイギリス軍の基地があり、現在も海軍が駐留しているなど重要な軍事拠点でもあります。この拠点を失うとなると軍事的な衰退以外にも影響があります。
1つめはジブラルタルが中継貿易の地としても栄えていることで貿易に大きな支障を及ぼす可能性があるということです。中継貿易となるとイギリス以外の国も関わってくるので複数の国を巻き込む複雑な問題になってしまいます。
2つめは金融の栄えている地域であり、スペインの企業に課している法人税が低いことを背景に金融業が発達しています。ジブラルタルには消費税がないことからオンラインギャンブルや外国為替取引の会社が正規に登録していることもあります。
3つめはジブラルタルが観光の名所となっていて、ヨーロッパ以外からも多くの観光客が訪れており観光収入も増えています。
つまり、ジブラルタルを失うことは観光収入が無くなり、イギリスの国家財政にも影響を与えることになるので1713年のユトレヒト条約が有効であると主張するのは当然のことです。
イギリスのEU離脱を巡っては政治・経済だけでなく外交でも大きな摩擦が生じていて、いずれも解決は一筋縄ではいかないことばかりです。
これまでEUという大きな共同体の中であまり表面化してこなかった加盟国間の格差が2015年の欧州難民危機によって表面化し、イギリスのEU離脱を招いたと言えるでしょう。
イギリスのEU離脱は国民投票で決まったため、今さら撤回はできません。離脱が決まっても政治経済・外交でEU加盟国と大きな障壁ができることは明白であり、今後の関係にも影響があります。
イギリス政府の中でも大きな混乱が生じており、EU離脱交渉は困難を極めるものとなるでしょう。この状況の中でスペインとの対立が激化するとなると何も前に進まなくなります。
今後、イギリス政府がどのように立ち回るのか不明ですが、課題は山積みです。