今回は奨学金の滞納するリスクについてです。
今では大学生の約5割が奨学金制度を利用している奨学金ですが、月々の返済を滞納してしまっている人も多く問題となっています。
最近は給付型の奨学金もありますが、学生が利用するのは日本学生支援機構の貸与型が多いのが現状で卒業後に返済が待っています。
テレビで奨学金の返済滞納について報じられることもあり、奨学金破産と言う怖いワードを見たことがある人も多いでしょう。
奨学金を滞納するリスクについて書いてみました。
※この記事で取り扱う奨学金は日本学生支援機構の奨学金で人的保証を選んだ場合です。
日本学生支援機構の奨学金を申し込む際は人的保証と機関保証のどちらを選択しないといけません。
人的保証の場合は保証人と連帯保証人を用意する必要があります。連帯保証人は原則親ですが、保証人は原則「おじ、おば、兄弟姉妹」です。
奨学金を借りた人が支払いが出来なくなった際、人的保証を選択していた場合はまず連帯保証人に請求がいきます。
連帯保証人も返済が出来ない場合は保証人に請求がいくようになっているのが人的保証です。
機関保証を選択した場合は保証人及び連帯保証人を用意する必要はありませんが、毎月保証料を支払う必要があります。
2020年度の機関保証の手数料が紹介されています。
※第2種奨学金で大学院以外
例えば月8万円の奨学金を4年間借りた場合は月額4286円の保証料を支払う必要があります。
機関保証の場合は保証人及び連帯保証人を立てる必要がないメリットがありますが、返済を滞納すると最終的に借りた本人に請求が来ます。
返済を滞納してしまうと日本学生支援機構から通知が来ます。3か月までは返済の最速ですが、4か月目に入ると対応が変わります。
また、滞納した時点で保証人や連帯保証人にも連絡が行くので借りた本人以外の人が状況を把握することになります。
奨学金を滞納すると他のローンが組めなくなる可能性があります。
奨学金の返済を3か月滞納してしまうとその事実が信用情報に登録されてしまうからで以後のローンの審査に通りづらくなってしまいます。
※信用情報…クレジットやローンの支払いの情報のこと
社会人になると車を買ったり、結婚して家を買うなど大きなイベントを迎える人も多いですが、奨学金の返済を滞納することで組めなくなってしまう可能性も出てきます。
全額その場で現金払いなど金持ちでもない限りできません。
他のローンを組めなくなると同様にクレジットカードが作れなくなると言うリスクもあります。
ローンと同じで信用情報に奨学金の返済滞納が登録されてしまうからで、信用の低下に直結することになります。
キャッシュレスが進んでいる中でクレジットカードは日々の生活に欠かせない存在になっていますが、作れないと常時現金払いになってしまいます。
旅行や普段の買い物でも高額になる場合はクレジットカード払いを利用する人も多いですが、現金払いしかできなくなります。
滞納が3か月続くと信用情報に登録されてしまいますが、他にも変わることがあります。
滞納が4か月目に入ると日本学生支援機構に変わり、民間の回収業者が返済の催促をしてきますし保証人や連帯保証人へも催促が行きます。
さらに滞納が9か月目に入ると「支払督促申立予告」の通知が届きます。
支払催促申立予告の通知が届く意味は…
「連絡なくこれ以上滞納すると裁判を起こす」
という日本学生支援機構からの実質的な最終警告とも言える通知です。ただ、この通知が来た時点で裁判が始まるわけではありません。
日本学生支援機構からの支払催促申立予告の通知に応答すれば、返済、猶予申請などの話し合いが出来ます。
この通知が来た場合は、無視してはいけません。後で「見ていなかった」という言い訳をしても相手にされません。
無視して応答しなかったとなると、最悪の場合、財産の差し押さえが実行される可能性もあります。
奨学金を借りた本人が返済を滞納してしまうと自分自身だけでなく、保証人や連帯保証人への影響も出てきます。
つまり奨学金の返済は滞納は…
自分自身だけの問題ではないことを借りる人は自覚する必要があります。
人的保証制度を利用する場合は必ず奨学金のリスクについて話し合い、保証人・連帯保証人になる人は覚悟を持って署名しないといけません。
家族・親族間で奨学金トラブルにならないように返済方法や破産リスクを共有するべきです。
もし、借りた本人が返せず、保証人・連帯保証人も返せないとなると
共倒れになる危険性もあります。
奨学金を借りる人は必ず返さないといけないという意識を持たないといけません。世の中無償でお金を貸してくれるような機関はありません。
お金を借りるということはリスクを背負うことです。
大学卒業後に奨学金の返済が出来ずに自己破産してしまう人も少なくありません。保証人、連帯保証人まで請求が届き、共倒れしてしまう最悪の事態も現実として起きています。
奨学金制度の利用申し込み時は子供は未成年なので親が主導で手続きをすることが多く、子供が奨学金のリスクについて知る機会が少ないのも怖い点です。
学生の時に奨学金のことをよく理解しないまま、社会人になってしまうケースもあります。
大学に奨学金を利用し進学しようと考えている場合は、卒業後に返済がスタートすることを
親だけでなく子供も理解する必要があります。
大学卒業後に返済で困らないように借りた本人や家族で奨学金について話し合うことも大事だと思います。
現代では大学の進学率が昔に比べると大幅に良くなり、高校を卒業して大学に進学し、就職活動を行うことがひとつのルートになりつつあります。
奨学金は大学進学を後押ししてくれる制度であると同時に実質的に借金であることを理解しなければなりません。
借金である以上は返済義務がありますし、返済できなくなると人的保証の場合は保証人・連帯保証人に迷惑がかかることを心に留めておく必要があります。
人的保証の場合は滞納した場合、家族や保証人となる人に影響が出てしまうリスクがあるということを借りる本人と人的保証の対象者は共有することが大事です。
借りる本人だけでなく保証人及び連帯保証人が奨学金制度について理解したうえで利用をするかどうかを決めることがリスクの軽減に繋がります。
奨学金破産は他人ごとではありません。
もし、どうしても返済が難しくなったときは日本学生支援機構の「減額返還制度」や「返済期限猶予制度」を利用できないか相談する方法があります。
滞納してしまう前に出来る限りの行動を取り、リスクの軽減策を取れるように奨学金制度についてある程度知っておくと少しでも楽にもなれるはずです。
社会人になってから奨学金の返済が始まるので月々の返済額はいくらになるのかシミュレーションしておくこともリスク軽減のための方法です。