今回のテーマは都営大江戸線での子育て支援車両の導入についてです。都営大江戸線では7月下旬から3つの新型車両で「子育て支援スペース」を設けて運行すると発表しました。
昨日の記事です。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190621-00000079-dal-life
子育て支援スペースの導入のは背景には子供や高齢者・車いす利用者との共存意識を高める狙いがあるようですが、実際のところ上手くいくのでしょうか?
電車の中のベビーカー論争はよく問題になりますが、今回の都営大江戸線の政策には賛否両論がありそうです。果たして子育て車両は効果があるのか、通勤ラッシュ時間中に迷惑にならないのか考えてみました。
記事によると、都営大江戸線では8両編成の新型車両の3つが子育て支援車両となります。8両編成の全ての車両に高齢者やベビーカーに配慮したフリースペースを設け、そのうちの2両を子供向けにきかんしゃトーマスのキャラクターをデザインするようです。
フリースペースに子供向けのデザインを設置するのは新しい取り組みだと感じます。フリースペースと言うと床に車いすのデザインが描かれたイメージでしたが、子供向けの絵を導入するのは遊び心があって良いと思います。
フリースペースと言うのは他の鉄道会社でも見られるような座席を外したスペースの事で8両全てに設けると言うのは思い切った政策だと言えます。
全車両にフリースペースがあれば、乗る場所を選ばなくてすむのでベビーカーや車いすの利用者の方はかなり楽になるでしょう。専用のスペースであれば、他人に迷惑だと思われるリスクも下がりますし気持ち的にも楽だと言えます。
ベビーカー論争が勃発しやすい環境というのは通勤・通学ラッシュ時の満員電車の車内です。首都圏であれば、恐ろしいぐらいの混雑で駅員が乗客を押し込んでいる姿は日常茶飯事とも言える環境です。
JRや私鉄関係なく頭を抱えるのが朝の通勤・通学ラッシュです。池袋や新宿と言ったターミナル駅に着いた時に満員電車からの解放感は大きいのではないでしょうか?
都営大江戸線では7月の下旬から子育て支援スペースを設けた新型車両3つを運行するようですが、この新型車両3つが平日の通勤・通学ラッシュ時間帯に運用があった時が一番怖いと思います。
都営大江戸線は練馬駅で西武池袋線・中井駅で西武新宿線・新宿駅でJR線・京王線・小田急線など他の大手鉄道会社との乗換駅があるので利用者も多く混雑も激しい路線です。
車内が非常に混雑するラッシュ時はフリースペースも関係ないと思います。いくら子育て支援車両だからと言っても乗客が増えてくるとそのスペースを使わざるを得なくなる可能性が高く、ベビーカーや車いす利用者に譲ることは困難だと予想できます。
朝ラッシュ時にベビーカーを使う以前に小さい子供を乗せること自体が危険行為です。どうしても乗せないといけない人もいるでしょうが、ベビーカーであっても子供が危険な事には変わりないです。
電車のブレーキで大人が揺さぶられることも多く、急ブレーキがかかれば大人が転倒することも珍しくありません。通勤ラッシュの満員電車で急ブレーキがかかると将棋倒しのようなことが起きてもおかしくない環境です。
ベビーカーの上に大人がのしかかることも十分に考えられますし、満員電車の中にベビーカーがいると迷惑だと思う人が多くても無理はありません。
しかし、ベビーカーが迷惑だと思っているのではなく子供が危険だから朝の通勤ラッシュ時は辞めてほしいと思っている人が多いと思います。
都営大江戸線の混雑率は157%と他の路線よりは低く、混雑率だけなら新聞を読めるぐらいの余裕はあります。西武池袋線は163%なので都営大江戸線はましな方でしょう。
しかし、都営大江戸線の車両は電車自体が小さいので、実際は混雑率以上に人が多く乗っていて狭いと言えます。朝ラッシュ時にベビーカーが乗っていると迷惑だと思われる可能性は高いと思います。
電車を利用すると遭遇することもあるベビーカー問題ですが、果たして子育て支援車両は効果があるのかというと限定的だと思います。
効果がある時と言うのは車内が座れる状態の時や立っている人が少ない時だと言えます。車内が混雑しておらずゆとりがある時であれば、ベビーカーや車いす利用者に対して敏感になりにくいと言えます。
しかし、上でも書きましたが朝の通勤・通学ラッシュ時は混雑具合から迷惑だと思われる可能性が高いでしょう。共存意識を高めたいという目的があるようですが、フリースペースを設けても思っているほどの効果は得れないと思います。
「満員の車両でお子様が泣いていたとしても、そこで『この車両は子育て応援スペースなんだな』と多少なりとも理解していただければありがたいです。お子様の泣き声が『うるさい』と思われる方は、他の車両に移っていただけければ」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190621-00000079-dal-lifeより引用
記事の中で上記のように書かれていますが、朝の通勤・通学ラッシュで他の車両に移動すること自体難しいのではないでしょうか?ドア付近にいるなら降りることは出来るかもしれませんが、他の車両に乗れる保証はありません。
小さい子供が泣いてしまうのは仕方ないことですが、親があやしても泣き止まない時もあります。この場合はどうしようもないです。
他の乗客が怒るのは泣いている子供を親が放置している時です。子供が泣いているのにスマホに夢中で子供を放置していれば迷惑だと言われても無理はありません。
実際、子供が泣いているのに親が放置している状況は少なくないです。
都営大江戸線での子育て支援車両の導入で子育てに対する意識を変えることは難しいでしょう。子育て支援は賛成ですが、電車での意識改革は日本社会の勤務体系が大きく変わらない限り効果は限定的です。
また、子育て支援に対する理解を求めること自体は問題ないですが、ベビーカーや車いす利用者に対してもマナーの注意を促す啓発ポスター等は必要だと思います。
実際にベビーカーを利用する親や車いす利用者の態度が横暴だと言う声は多いです。駅員をやっている時にこのような声は多かったので一方的に押し付けるのは逆効果になりかねません。
ベビーカーや車いす利用者を支援を促進するには共存は欠かせませんが、一方だけに押し付けるのではなく双方に啓発を呼び掛ける必要があると思います。