福知山線脱線事故の背景にJR西の組織体質!日勤教育と運行ダイヤ管理

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インフラ

2005年4月25日に起きた福知山線脱線事故から14年が経ちました。福知山線脱線事故は制限速度を大幅に超えたことで急カーブを曲がり切れなかったことが原因で起きましたが、JR西日本の乗務員に対する日勤教育や運行ダイヤの管理に問題があったと指摘されていました。

 

事故当時、JR西日本の組織体質や管理体制に大きな批判がありましたが一体どのような背景であったかをまとめてみました。

福知山線脱線事故時のJR西日本の経営方針

 

福知山線脱線事故が起きたのは2005年ですが、以前からJR西日本は関西の私鉄との競合区間が複数ありました。関西は阪急・阪神・近鉄・南海・京阪と言った私鉄の力が強く私鉄王国とも呼ばれるエリアで各地で私鉄との競合を余儀なくされていました。

 

そのような背景があり、スピードアップによる時間短縮や運行ダイヤの充実で私鉄に打ち勝とうとするJR西日本の姿勢がありました。私鉄との競合を制するというJR西日本の経営方針が結果的に安全対策を怠ることになり、福知山線脱線事故を招く要因の1つになりました。

 

また、私鉄との競合に加えて赤字路線の維持や1995年の阪神淡路大震災での設備の復旧費用が高額になったことも設備投資が進まない原因にもなったとも言えます。

 

阪急電鉄との競合

 

現在でも大阪~神戸間・大阪~宝塚、京都エリアでも競合する相手になっています。JRがスピードで阪急に勝るのに対し、阪急は運賃の安さでJRに勝っていました。早さならJR、安さと座席の快適性なら阪急といったような感じです。

 

私も阪急を使っていたのですが、座席の座り心地は阪急が一番いいと思います。安くて座り心地が良かったので学生の頃は阪急を利用する機会も多かったです。

 

京都~神戸間での競合と新快速

 

阪急とは京都・大阪・兵庫の3つのエリアで競合する中でJR神戸線や京都線では速達性に優れた新快速電車の導入が進んでいて、複々線を利用した輸送力の高さと新快速の速達性及び転換クロスシートが私鉄ユーザーの心を掴み、取り込みに成功したとも言われています。

 

現在、京都~大阪間を新快速は約30分(最速は28分)で結んでいて阪急京都線の特急よりも速達性に優れます。停車駅が高槻と新大阪の2駅で外側線を130キロ走行出来るので多少の遅れも戻せるので速達性では阪急を圧倒しているとも言えます。

 

大阪~宝塚間の競合 丹波路快速の導入

大阪~宝塚間は阪急宝塚線とJR福知山線が競合する区間です。大阪から宝塚間では大阪駅発着の丹波路快速が2000年のダイヤ改正で導入されるなど阪急電鉄を意識したJR西の攻勢が進んでいました。

 

特に新快速は私鉄ユーザーの取り込みに成功したとも言われ、優れた速達性が利用者に支持されていることが分かりました。新快速の成功で大阪~宝塚間でも阪急に勝とうと2000年のダイヤ改正で丹波路快速を導入して阪急ユーザーを取り込もうとしたのだと思います。

 

日勤教育で乗務員の締め付ける組織体質

事故後に報道されたJR西日本の管理問題の中で一番に上がるのが乗務員に対する日勤教育です。日勤教育とは目標や乗務員が守らないといけないルールを守らなかった時に課せられた懲罰で、実態としては業務の関係のないことを課せられるものでした。

 

報道で取り上げられた日勤教育の事例として、経営理念の書き写しや就業規則(罰とは関係のない部分)の書き写しを1日中させられたり、作文やレポートの作成がありました。

 

作文やレポートは内容にもよりますが、懲罰的な事として課せられることはJR西に限らず他の企業でもあるでしょう。私も1回レポートを書いたことがあります(;^_^A。

 

経営理念や関係のない就業規則の丸写しを1日中させられるのはただのいじめとしか思えないですね。1日中書いたところで意味などないです。ただの根性論としか思えないようなことを日勤教育として乗務員に課していたことが事故後に発覚しました。

 

脱線事故を起こした電車の運転士も事故前に日勤教育を受けていて、友人に日勤教育が辛いことを漏らしていたようなのでかなり追い詰められていたのかなと思います。

パワハラのような日勤教育の事例

上で取り上げられた日勤教育以外の事例として、個室に軟禁して毎日のように罵声を浴びせ続けるというパワハラもいいところな事例がありました。軟禁状態でトイレに行く際も許可を取らないと行けないという狂気じみたパワハラで自殺やうつに追い込んだケースもあるようです。

 

近年はコンプライアンスの遵守が叫ばれており、その感覚で行けばJR西の日勤教育はブラック企業そのものです。

日勤教育が福知山線脱線事故の引き金に!

事故を起こした運転士は事故前にも伊丹駅でオーバーランをしていたり、宝塚駅や川西池田駅で停止位置を間違えたりと冷静な状態ではなかったことは明白です。オーバーランの報告をしないでと車掌に頼むあたり、日勤教育に怯えていたのでしょう。

 

遅れを取り戻そうと焦るあまり、速度を下げないままカーブに突入し脱線してしまったというのが筋なのではないかと思います。日勤教育が死亡した運転士に限らず、乗務員を精神的に追い詰めていたのは事実です。

 

無理な運行ダイヤ管理

阪急電鉄との競合区間が多い為、秒単位での速度アップを図っていたという声もありました。事故前は福知山線の最高速度は120キロでしたが、停車駅を追加したにも関わらず運転時分を見直さないなどあまりにも無謀すぎるダイヤを組んでいました。

 

停車駅を増やしたにもよらず、所要時間は快速が中山寺に停車ない時と同じだったという事実がありました。普通に考えて定時運行など無理です。

 

停車駅が増えた分、停車時間の削減や速度アップを行っても定時運行は厳しく慢性的に遅れが生じていたとされています。事故が起きる前年のダイヤ改正でも時間短縮が行われていたことも明らかになりJR西日本の運行管理とそれを強要する組織体質に大きな批判が集まりました。

 

ゲームに見るJR西の無理な運行ダイヤ

 

任天堂64「電車でGo」と言うソフトがあります。このソフトではJR西の大阪~神戸間を走行するシナリオがあるのですが恐ろしいダイヤ設定になっている部分があります。

 

快速電車で大阪を出て次の塚本駅を定時通過するためには加速し続けないといけないという恐ろしい設定になっています。塚本駅を通過する時には125キロぐらい出ていますが、このぐらい飛ばさないと定時通過できないのです。

 

※YouTubeでその動画がありました。

まとめ

 

福知山線脱線事故の背景にはJR西日本が抱える赤字路線や私鉄との競合による無理なダイヤ設定に加えて、乗務員の管理体制に問題がありました。組織体質の問題と競合による速達性に特化したダイヤ設定が事故の原因になることになりました。

 

ただの速度超過による脱線事故ではなく、内的要因と外的要因が合わさったことによる複合的な事故です。利益だけを求めたことにより安全面の確保と従業員の管理が疎かになったことが福知山線脱線事故へと繋がりました。

 

ゲームでも無理なダイヤ設定のままであることを思うと実際のダイヤはもっと過酷だったのではないのかなと思います。

 

今日は事故現場で慰霊式が行われるようですが、14年前の事故について何を思うのでしょうか?風化させないためにも事故の教訓を忘れないようにしてほしいですね。

 

 

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