今から14年前の2005年4月25日、兵庫県尼崎市でJR福知山線脱線事故が発生しました。尼崎駅から塚口駅間のカーブで発生した事故現場の映像を見た記憶がある人も多いのではないでしょうか?
当時、小学生でしたがテレビで連日のように放送されていたことを覚えています。電車が原型を留めていなかったことや脱線していること、マンションの下側が滅茶苦茶になっていたこと映像がテレビで流れていたことは子供の自分でも恐ろしい事だと思いました。
事故当時、母親の親戚が福知山線を利用して通勤していたらしく母親が何度も電話を掛けていたことが印象に残っています。事故から14年が経った2019年の4月25日ですが、福知山線脱線事故につしてまとめてみました。
福知山線脱線事故とは?
上でも紹介しましたが、2005年4月25日午前9時18分ごろ、宝塚駅発JR東西線・学研都市線経由同志社前行の上り快速電車が尼崎駅~塚口駅間の急カーブを曲がりきることができず脱線した事故です。
進行方向1両目の車両は線路沿いのマンションに激突しマンションの1階の駐車場部分にめり込むような形になり、2両目はマンションの外壁と脱線した3両目・4両目に圧迫される形で原型を留めない状態でした。
3両目・4両目は宝塚方面側の線路を支障し、下り電車が来ていれば2重事故になりかねない状態でした。実際に下りの特急電車が接近していましたが、事故を知った住民が踏切非常ボタンを押したことで特殊信号発光器が作動したため事故現場の100メートル手前で停止しました。
事故の被害状況
この事故で運転士を含む107名が亡くなり、562名の負傷者を出すという大惨事で1991年に滋賀県の信楽高原鉄道列車衝突事故の死者42名を大幅に上回る死傷者を出した事故で民営化後の事故としては最悪の事故になりました。
亡くなった107名の多くは進行方向1両目・2両目のに乗っていた乗客で事故の衝撃で車両が圧迫されて崩壊したことによる圧死や窒息死、失血死やクラッシュ症候群が原因で命を落とす結果になりました。
体を圧迫されたことによって押しつぶされて亡くなった人が多かったということです。
事故の直接的被害の他にも救助に当たった人がPTSDを発症するなど2次被害も広範囲に及び、事故がもたらす恐ろしさと言うものがよく分かることになりました。
事故の直接的な原因
事故の直接的な原因としては制限速度を大幅に超過したことで電車がカーブを曲がり切れなかったことです。当時、事故現場の急カーブは制限速度が70キロだったにも関わらず、実際は116キロと46キロ超過でカーブに突入したと事故報告書では書かれています。
制限速度を46キロも超過した状態で急カーブに突入すれば脱線するのは目に見えています。速度が早い分、衝撃も大きくなりますし脱線後の状態がその衝撃の凄さを物語っています。
事故の間接的原因
間接的な原因として、JR西日本の経営体制と運行体制に問題があったこともあります。現在もですが福知山線は阪急電鉄との競合区間でもあります。兵庫県や大阪府は阪急電鉄だけでなく阪神電鉄とも競合しているエリアです。
事故の間接的な原因であるJR西日本の経営体制や運行管理です。
事故の影響
福知山線は脱線事故の影響で運転再開まで約2か月かかりました。全線で運転を再開したのは6月19日で実に事故から55日後の完全復旧でした。運休の期間は阪急電鉄で振替輸送が行われていましたが、通勤・通学に影響が出ました。
宝塚から大阪に出る場合、阪急宝塚線急行or西宮北口経由で阪急神戸線特急を利用することになっていたのですが、阪急宝塚線は急行でも豊中まで各駅停車なので梅田まで約33分掛かりますし、神戸線経由でも乗換が伴うので時間の差はほとんどありません。
しかし、JR福知山線利用者が阪急線に流れ込み、既存の利用者に加えて振替輸送の利用者が増えたためにラッシュ時の混雑がひどくなりました。電車だけでなくバスにも影響が出たので通勤・通学時間が増えることになりました。
振替輸送自体は出来たものの、乗換の発生や利用者の増加による混雑の悪化で駅での乗降に時間が掛かり電車の遅れが出るなど利用者だけでなく阪急線の運行にも影響が出ました。
JR西日本の安全対策
福知山線脱線事故を契機にJR西日本は安全対策への設備投資を積極的に行うようになりました。ホームページや記事でも福知山線脱線事故のことに触れていることが多く、この事故はJR西日本の経営方針や管理体制の見直すことになったと言えるでしょう。
福知山線脱線事故後、しばらくの間尼崎から新三田間の最高速度は120キロから95キロまで引き下げられています。現在は不明ですが最高速度を戻したという報道はないのでそのままなのではないかと思います。
また、新型のATSの導入や緊急列車防護装置の導入など福知山線への設備投資が進められるようになりました。車両のラインカラーも一新され、イメージ改善の努力もしていました。
近年は、大阪駅にホームドアを設置したり高槻駅でのホーム増加や昇降式の柵の設置と言った安全面での設備投資が進んでいると感じます。
福知山線脱線事故の風化の影響?
安全確保に力を入れていると宣伝しているJR西日本ですが、2017年新幹線の台車に亀裂が入っていたにもかかわらずそのまま運行していたという出来事がありました。一歩間違えれば、大惨事に繋がりかねない重大なインシデントでした。
名古屋駅はJR東海の管轄エリアで他社の管轄内で重大インシデントが発覚したことでJR西日本のメンテナンス管理に問題があったことや他社線に影響を及ぼしたことは安全確保に対するJR西日本の姿勢が甘いことを意味しているでしょう。
14年前の福知山線脱線事故で安全確保に努めると宣言して様々な対策を実施てきたJR西日本ですが10年以上経過していることもあり、風化しているのではないかと思える部分もあります。
JR西日本が求められる今後の安全対策
4月25日は福知山線脱線事故の遺族だけでなくJR西日本にとっても忘れられない日です。事故から14年後に現場で初の慰霊式が行われる予定ですが、14年前の事故を風化させないためにも今一度、安全対策というものを考え直す必要があるのではないかと思います。
今後、悲劇を繰り返さないためには2017年に発覚した新幹線の台車の亀裂インシデントのようなことを起こしてはいけません。異常を見つけたら電車を止めるという勇気が今後求められるのではないでしょうか?
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