今回は満員電車でのベビーカーについてです。
ベビーカー論争と言う言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、満員電車でベビーカーがあると邪魔だと感じる人は少なくありません。特に通勤時間帯の電車にベビーカーが入ってくると迷惑だと感じてしまうことも珍しくはないでしょう。
1週間ほど前の記事で子育て支援の為の車両を作るべきだと主張する団体の記事がありました。
子育ての為に必要なベビーカーですが、満員電車で邪魔だと思われてしまう理由は何なのでしょうか?電車の迷惑行為としても取り上げられることもあるベビーカーですが、今後はどのように対策をしていくのが良いのかも考えてみました。
満員電車でベビーカーは邪魔なのか?
記事によれば、市民団体「子どもの安全な移動を考えるパートナーズ」が要望の1つとして小池都知事に通勤時間帯に子育て応援車両を付けることを求めたとのことです。
個人的な意見として、この主張自体には賛同できません。そもそも通勤時間帯にベビーカーに子供を乗せた状態で電車に乗ること自体が危険行為だと思いますが、そうせざるを得ない日本社会の現実があるのも事実です。
特に首都圏の通勤ラッシュ時の混雑は凄まじいもので駅員が押し込んでいる光景も日常茶飯事な状態です。その状態の車両にベビーカーがいたら非常に危険なことは分かります。もし、急停車すれば子供の上に大人がのしかかるような事態が起きてもおかしくはありません。
そうなった場合、鉄道会社に損害賠償を求めるのでしょうか?それとものしかかった乗客に損害賠償を求めるのでしょうか?今の日本社会の現実を考えれば、満員電車にベビーカーを乗せた方がおかしいと責められてしまうと思います。
ベビーカーが邪魔だと思われる理由として通勤時間帯の電車は混雑が激しく子供が危険に晒されるというのがあると言えます。母親のマナーを指摘する声も少なくはありませんが、根本的な理由としては子供の安全面を考えでの意見だと思います。
子育て支援車両の問題点とは
この市民団体は女性専用車両を女性専用&子育て専用車両に変更できないかと私鉄に提案したようですが、鉄道会社は他の鉄道会社の動き次第という回答だったようです。
私鉄の回答がこうなるのは無理もないと思います。この市民団体の主張に対しては2つの問題があるからです。
1つめの問題
1つめは何両目を女性専用&子育て専用車両にするかです。
鉄道会社によって車両の長さは異なりますし、駅ごとにエレベーターの位置も異なります。10両の車両もあれば、12両の車両もあるので何両目がエレベーターに近くなるかは車両の長さ次第です。
例として所沢駅~池袋駅まで乗車したとします。最近乗って2駅のエレベーターの場所を把握していることと西武池袋線は首都圏の通勤路線なのでこの2つの駅を対象としました。
所沢駅から乗車した場合、エレベーターはホームの中央付近にあります。そのためベビーカーが乗車する位置は真ん中あたりの車両になる可能性が高いと思います。
しかし、西武池袋駅のメイン改札口は進行方向の一番前の車両が近いです。そのため所沢駅から乗っても池袋駅では通勤ラッシュでホームが非常に混雑している中、ベビーカーを押さないといけないのです。
所沢駅で一番前の車両に乗ればいいと思われるかもしれませんが、通勤で利用している人は池袋駅の構造を把握してるので池袋で降りる人は前よりの車両に集中します。駅員が押し込みをしている駅もあるので通勤時のベビーカーと言うのは非常に危険です。
あくまで西武池袋線の事例ですが、他の路線であっても同じ問題に直面する可能性が高いと思います。
2つめの問題
2つめは女性&子育て専用車両ということで対象を限定してしまっていることです。
電車に乗る人の中には介助が必要な人や車いすを利用している人もいます。盲導犬を連れている人もいます。
その方々は女性&子育て専用車両を利用できるのでしょうか?女性とそのこどもに対象を限定してしまうとその他の人は利用できないことになってしまいます。
専用車両にしてしまうと他方で差別を生んでしまう場合があります。子育てをしている女性を支援するために他のサポートが必要な人を冷遇するのでしょうか?
それでは元も子ありません。片方を優遇すれば、もう片方から反発されることは予想が付きます。
3つめの問題
3つめは費用面の問題です。
仮に女性&子育て専用車両を作るとしてもその費用が誰が負担するのでしょうか?駅によってホームの構造も違うので単純に車両を改造すればいいというわけではありません。
車両を作るだけでもかなり費用が掛かるのにホームの改修が必要となると莫大なコストがかかります。そのコストを賄うために運賃を上げると鉄道会社が発表すれば他の利用者からは猛反発を受けます。
正直、この問題は鉄道会社が専用車両を作れば解決するという問題ではありません。日本社会全体が子育てに対して支援する環境を整えないと根本的な解決にはならないと思います。
今後の対策は
根本的に解決するには時差通勤や在宅ワークの導入など仕事のスタイルを変えていかないと対応は難しいでしょう。子供を通勤時間帯の電車に乗せないといけない背景には保育園不足や保育士不足があります。
鉄道会社でも駅ナカ保育園を作ったりしていますが、絶対数は足りていません。子育て支援のために専用車両を作るより、保育園や保育士の確保することが将来的にも有効なのではないでしょうか?
今後の対策としてどのような政策が実施されるかは分かりませんが、鉄道会社に問題解決を押し付けるのは間違っています。日本社会全体で子育てに対して考え直す必要があるでしょう。
子育て支援の為にも保育園の開設と保育士の待遇を向上することは欠かせない対策です。
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