こんばんは。今回は特急あずさの停車駅が削減される理由について書いていこうと思います。
1月から報道でもありますが、JR東日本が特急あずさの停車駅を2019年3月のダイヤ改正で削減することに対して長野県沿線の自治体が猛反発しておりダイヤ改正の見直しを求める声が上がっています。
今朝の特急あずさの記事です。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190202-00000009-asahi-soci
特急あずさは東京都の新宿駅~長野県の松本駅を結ぶ特急列車で1966年から運行されている歴史ある特急です。あずさとスーパーあずさの名称がありますが、後者は2019年3月のダイヤ改正でその名称は廃止されます。
両者の違いは車両や編成数です。車両に関してはマニアックなので省略しますが、9両or11両で運転するのが「あずさ」で12両で運転するのが「スーパーあずさ」と思っていただければと分かりやすいと思います。
新宿~松本間の225キロを最速2時間25分で走行し、信州への観光アクセスや双方へのビジネスでの利用など観光客だけでなくビジネスマンにも支持されてきました。
これまで特急あずさが停車していた駅が停車本数が削減されるとなると沿線利用者の減少が予想され、アクセスの悪化が懸念されるのは事実です。
では、JR東日本が2019年3月のダイヤ改正で特急あずさの停車駅の削減に乗り切ったのでしょうか?その理由とダイヤ改正後の沿線アクセスについても考えていこうと思います。
現在、新宿~松本間をあずさとスーパーあずさ合わせて合計18往復運行されています。新宿始発以外に東京駅発着と千葉駅発着のあずさも運行されていて、松本より先の南小谷まで運行するものもあります。
2019年3月のダイヤ改正では運行本数に変更はないものの長野県内の一部の駅で停車本数が削減されます。削減の対象となる駅は長野県の上諏訪駅・下諏訪駅・塩尻駅・岡谷駅・富士見駅の5駅で削減に対し反対の声が上がっている状況です。
長野県以外で山梨県の韮崎駅や大月駅なども停車本数が削減されますが、長野県ほど反対の声は上がっていないようです。報道もないので真意は分かりませんが、長野県ほど関心がないのでしょうか?
長野県の駅ではあずさの停車本数が下諏訪駅が16本から4本、塩尻駅が33本から28本、岡谷駅が32本から28本、富士見駅が11本から4本、上諏訪が36本(全列車停車)から34本に変更されます。
上諏訪駅は上下線とも1本が停車しなくなるだけなのでさほど影響はないと思いますが、下諏訪駅と富士見駅は停車本数が半分以下になるので利用客もかなり減少することが予想できます。
JR東日本が停車本数の削減に踏み切った理由として考えられるのは2つあります。1つは速達性の向上で2つめは停車本数の削減対象駅の利用状況です。
速達性の向上は利用客にとっては非常に便利でありがたいものです。移動時間が短くなれば、ビジネスや旅行での移動範囲が広まるので時間の有効活用が出来るようになります。
数分の短縮であっても、その数分が乗換時間に影響することも少なくありません。これまで3分しかなかった乗換時間が7分になれば移動に余裕が出来ます。乗換時間が増えると精神的な余裕も出来るので急いでホームを移動して他の人と衝突したり思わぬケガをする確率も下がります。
また速達性の向上によって、乗換先の電車に1本早く乗れるようにもなることも考えられるので移動時間の短縮が出来ることは利用者にとってうれしいことです。
2つ目の理由として削減対象駅の利用状況がJR東日本が想定していたほど良くない可能性です。優等列車の停車駅を決める上で利用客数は判断基準になりますし、利用者が少なければ特急を停車させるメリットはあまりありません。
JR東日本が公開している2017年の各駅の1日平均利用者数を見ると、上諏訪駅が4367人、塩尻駅が4215人、岡谷駅が3227人、下諏訪が2056人、富士見駅に関しては922人と1000人以下となっています。https://www.jreast.co.jp/passenger/
利用者数だけを見れば特急を止める意味はあまりないのではと思いますが、上諏訪駅と下諏訪駅は観光地でもあるのである程度の需要はあると言えます。
上諏訪駅に関してはあずさの全停車でなくなっただけで上下線1本以外は全て停車するのでJR東日本も上諏訪駅の重要性についてはまだまだ高いと考えているのでしょう。塩尻駅と岡谷駅も削減本数は5本以下と抑えられているので重要性は比較的あると言えます。
下諏訪駅に関しては上諏訪駅の半分以下の利用者数なのであずさを止める必要性が低いと判断したのでしょう。観光地とは言え、上諏訪駅の利用者数が倍であることと観光面での需要も高いことを考えれば下諏訪駅にあずさを止める意味はあまりないと思います。
富士見駅に関しては1日の利用者が1000人にも満たないのに特急を止める意味があるのか疑問です。利用者数に対する特急あずさの停車が需要に合ってないので削減するのは合理的な判断だと思います。
記事では長野県の沿線自治体が特急あずさの停車本数削減に反対と書かれていますが、紹介されているのは観光関係者です。一般の住民の方の声が紹介されていないのに沿線が反対しているというような印象操作ではないかと感じます。
観光面に影響が出ると反対しているようですが、利用者が少ないから削減されることだとは思わないのでしょうか?
JRは民間企業なので収益が上がらないことに対して手を打つのは当たり前です。利用者が減っていなかれば特急の停車本数を削減するようなことはしないと思います。削減するということは利用者が減っているということでしょう。
鉄道会社のダイヤ改正や経営に対して文句を言う自治体が多いと感じます。記事の書き方にも問題があるのかもしれませんが、利用者の減少によるダイヤ改正に対して文句を言うなら沿線自治体は利用者を増やす努力はしているのでしょうか?
どうも利用者の増加の為の政策は鉄道会社に丸投げで自治体は何もしてないように受け取れます。沿線自治体が観光客を呼び込むような努力もせずに、鉄道会社の対応を批判するのはおかしな話です。
長野県の沿線自治体はJR東日本にダイヤ改正の見直しを求める要望書を出したようですが、駅利用者増加の為の政策は考えているのでしょうか?ただ、ダイヤ改正を見直せと言うだけではJR東日本の対応は変わらないと思います。
利用者増加の為の具体的な政策をJR東日本に示したうえでダイヤ改正を見直してくださいと言う方が客観的に見ても沿線自治体が本気であることが相手にも伝わると思います。
具体的な政策を提示した上で試験期間を設け、その結果で特急あずさの停車本数を削減するかどうか決めてくださいとお願いすればJR東日本の対応も変わるでしょう。
JR東日本が特急あずさの停車駅を2019年3月のダイヤ改正で削減するのは明確な理由があるはずです。ダイヤ改正後の沿線へのアクセスの悪化が懸念されていますが、沿線自治体は今後どう対応していくのでしょうか?
鉄道会社の努力だけでは沿線アクセスの向上を目指すのは現実的に難しいです。特急の停車本数が減ってアクセスが悪くなるからダイヤを見直せと言うのではなく、利用者が少ないから特急を止める意味がないということを現実として受け止めないといけないと思います。
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