今回のテーマはドイツの国内情勢についてです。
昨日の報道で保守与党のCSUがドイツバイエルン州の州議会選挙で大敗を喫する予想が出ていましたが、今日の朝に大敗という結果がでました。
今日の読売新聞の記事です。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181015-00050054-yom-int
大敗と言っても第一党であることには変わりありませんが、得票率が前回より10パーセント下がり、過半数を維持できなくなったことで歴史的大敗と報じられています。ただ、連立を組んでいるCSUの本拠地でこの結果なら、大敗と言われても無理はありません。
この記事ではメルケル与党の敗北理由として以下の3点について考えてみました。
・欧州難民危機による移民問題
・メルケル与党内の内紛
・反移民を掲げるAfDの躍進
この記事ではドイツ州議会選挙でメルケル政権側が敗北した理由として移民問題と与党内の内紛について考えてみました。またAfDの躍進についても紹介します。
ドイツ州議会選挙でメルケル与党の敗北の理由
個人的にそこまで驚くほどのことでもなく、議席を多く失うことは当然の結果だと思いました。ドイツ州議会選挙でメルケル与党が大敗した理由は内的要因と外的要因の2つに分けることが出来ます。
内的要因としてはメルケル与党内の内紛、外的要因としては2015年に発生した欧州難民危機による移民問題です。それぞれの要因を簡単にまとめてみました。
移民問題での失敗
外的要因は2015年の欧州難民危機における移民問題です。
2015年夏の中東からの難民を人道的支援という名目で大量に受け入れたことがドイツ国内の治安悪化による混乱を招きました。
また周辺国との外交摩擦を呼び起こす結果になったことで失敗に終わったということです。あまりにも現実的脅威を無視した愚かな政策です。
無制限に難民を受け入れたことで予想以上の数が押し寄せ、難民が通過する周辺国にも大きな混乱を招いたのはドイツのメルケル首相の責任であると言われても無理はありません。
移民政策失敗のダメージはあまりにも大きかったと言えるでしょう。
人道的支援という理想とするべき行動のようにも思えますが、少し間違えれば大きな犠牲を払うことにも繋がるということが現実の結果として分かったと思います。
与党内での分裂
移民政策での失敗によるドイツ国内の混乱を招いたことに加えて、与党内での分裂を見せられれば支持率を失うのは当然の結果です。
与党内の内紛は外的要因である移民問題での失敗が招いたことと捉えることが出来ますが、選挙の前に起きた事もあり今回の結果に繋がってしまったとも言えます。
この内紛によって政権与党側は一枚岩になることができなくなり、メルケル政権の求心力が低下する内的要因になったと考えられます。
ドイツ国民からすれば、直面している問題から目を背けているとしか映りません。国民の安全が脅かされている時に内紛で揉めている場合ではないはずです。
ドイツ州議会選挙でAfDが躍進
今回のドイツ州議会選挙では与党の大敗し、反移民を掲げるAfDが躍進しました。このような結果を招いた原因として挙げられるのは移民(難民)政策の失敗と連立与党内での内紛によるドタバタ劇です。
ドイツで反移民を掲げる政党が議席を獲得したことは今後、EUにとって大きな障壁となる可能性が高いと思います。
メルケル政権はバイエルン州での結果を現実として重く受け止めないといけません。連立を組んでいるCSUの本拠地で多くの議席を失ったということは連立政権に大きなダメージが入ったことを意味します。
また同時に今回の大敗はメルケル政権に対してCSUの本拠地であるバイエルン州に置いてもNGを突き付けた人が大幅に増えたことも意味しています。
内的要因と外的要因が重なったことでメルケル政権は本拠地のバイエルン州で多くの議席を失うことに繋がったと言えます。
AfDはバイエルン州で議席を獲得
単独過半数に満たず、大幅に議席を減らした連立与党のCSUと対照的に躍進したのが「ドイツのための選択肢(AfD)」です。難民の受け入れに反対するAfDは10.2%の得票率を獲得し、バイエルン州議会において第4党となりました。
2017年の連邦議会選挙で初の議席を獲得したのに加えて、バイエルン州議会で議席を獲得できたことはAfDの主張が少しずつドイツ国内で受け入れられていることを証明しています。
特にメルケル政権側の重要な基盤地域であるバイエルン州で議席を獲得できたのはAfDにとって非常に大きな収穫であると言えます。
メルケル政権の重要基盤地域で自分たちの主張が受け入れられ始めていることは今後の政党の拡大に大きな追い風となるからです。
反対にメルケル政権側からすれば地盤地域で反対勢力が力をつけていることは大きな問題です。地盤地域を失えば、メルケル政権も終焉に追い詰められてもおかしくはありません。
移民政策の失敗によってAfDの台頭を許し、本拠地で大幅に議席を失ったということはドイツ世論が反移民・難民という考え方に賛同しているということです。
ドイツメディアのAfD叩きも
AfDの台頭に対して極右政党やナチスといったような扱いをして弾圧する姿勢を取るドイツメディアが多いですが、それでも勢力を拡大しているのはドイツ国民がメディアを信用していないということです。
むしろ、ドイツメディアや連立与党側が言論弾圧を行っているのではないかと捉えられているのでしょう。個人的にもドイツメディアの多くが言論弾圧と印象操作をAfDに対して行っていると感じています。
AfDを排斥主義、差別団体と批判しているドイツメディアこそが言論弾圧をしているのではないかと思います。これだけ印象操作をしてAfDを攻撃していますが、ドイツメディアこそナチス時代の言論弾圧を再び実施しているのではないでしょうか?
私自身、決してAfDを100%支持しているわけではありません。あまりにもドイツメディアの取り扱い方がひどく、印象操作によって政党を潰そうとしているのが分かるのでメディアの攻撃に負けないでほしいという感情もあります。
最後に
今月の28日にはヘッセン州での選挙が控えていますが、メルケル政権側の苦戦は免れないでしょう。議席を減らすことは避けられないでしょうが、どこまで踏みとどまれるかがカギとなりそうです。
反移民を掲げるAfDはヘッセン州でどのような結果を残すのでしょうか?
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