イギリスでは保守党党首選挙が行われていて、ボリス・ジョンソン氏がトップになっていると報道がありました。
辞任したメイ首相の後継者を選ぶ選挙ですが、ジョンソン氏が勝ち抜くのではないかと予想しています。イギリスのEU離脱を掲げてメイ前首相と共に2016年の国民投票から昨年の途中まで戦ったジョンソン氏ですがメディア受けは良くないです。
ジョンソン氏がイギリスの首相となった場合、合意なき離脱は実行される可能性が高いと思いますがEUとの関係や影響はどうなるのでしょうか?今後の展開を考えてみました。
ジョンソン氏がイギリス首相になる可能性も
当初10人いた立候補者が保守党内での選挙を経て今朝の段階で4人まで絞られました。
10人の立候補者のうち4人が強硬離脱派、6人が穏健離脱派の候補者でしたが保守党内の選挙を経て最下位の票数の候補者が落選していき2人まで候補者を絞ります。
昨日の予備投票で穏健離脱派のステュアート氏が落選しました。20日の朝の時点で残った4人の候補者のうち3人が穏健離脱派、ジョンソン氏のみが強硬離脱派となっています。
今朝の記事です。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190621-00000522-san-int
さらに残った4人の中でジャビド内相、ゴーブ氏が脱落し、ジョンソン氏とハント氏の一騎打ちという状況になりました。ここまでトップを走るジョンソン氏が決選投票でも有利なことは変わらないでしょう。
EUにとっては嫌な候補者が残ってしまったと言えるでしょう。EUにとっては合意なき離脱に徹底反対しているハント氏が残ったとは言え、ジョンソン氏が有利な状況であることは悩みの種です。
ハント氏はイギリスの合意なき離脱に対しては徹底的に反対の対場であるのでEU側はジョンソン氏よりも強気には出てこないと思っているでしょうし、10月末に合意なき離脱を実行することはないとみているでしょう。
EU離脱強硬派と穏健派の戦いでもあります。
ジョンソン氏が有利な状況
過去の失言への批判が集中するジョンソン氏ですが、なぜ支持を集めれるのでしょうか?これだけ他の候補者やメディアから集中砲火を受けるているのもかかわらず保守党内での人気はトップです。
個人的な推測ですが、
国民投票で決まったイギリスのEU離脱に対して忠実に遂行しようとしているからではないかと思います。
現在行われているイギリス保守党党首選挙でもEUとの合意の有無に関係なくイギリスはEUを離脱すると発言しています。ジョンソン氏は離脱強硬派の中でもより強い姿勢でEUからの離脱を主張しているのも特徴です。
ただ、ジョンソン氏は最初から合意なき離脱を目指しているわけではないと主張しています。
残った候補は強硬離脱派のジョンソン氏と穏健離脱派ハント氏ですが考え方は正反対です。
ここまでの差は大きいですが、ハント氏が脱落した候補者の票を大幅に獲得できれば勝機はあります。ジョンソン氏は敵も多いので反ジョンソンで結束することが出来れば票を獲得することは狙えます。
しかし、脱落したゴーブ氏とハント氏は同じ穏健派でも合意なき離脱に対する考え方に違いがあるのでハント氏を支持していた人がゴーブ氏を素直に支援するとは考えにくいです。
ゴーブ氏の支持者は考え方の近いジョンソン氏の方が応援しやすいでしょう。
この状況を考慮すると最初からトップを走っているジョンソン氏が勝つ可能性は高いと言えます。5回目の投票でも保守党内で51%の支持となる160票を集めています。
仮にハント氏(77票)がゴーブ氏(75票)の獲得した票を得ても152票でジョンソン氏には及びません。こうなるとジョンソン氏が有利なのは明白です。
また、保守党が20日に党員への世論調査で62%がジョンソン氏支持、11%がハント氏の支持であると発表しています。7月の決選投票でどうなるかは不明ですがジョンソン氏にとってこの結果は追い風です。
ジョンソン首相が誕生するのも時間の問題かもしれません。
人格面や過去の失言で批判を浴びても人気があると言うことは「イギリスを本気で変えてくれると思っている人が多い」と言うことではないでしょうか?
メディアから批判も多いですが、裏を返せば支持されているということです。
人気が増えれば増えるほど、アンチも増えます。ジョンソン氏がイギリスのトランプと自分自身で思っているかは知りませんが、メディアがそのように考えているのは予想できます。
ジョンソンなら合意なき離脱でEUとの関係はどうなる?
ジョンソン氏はEUとの合意の有無に関係なく10月末でイギリスはEUを離脱すると主張しています。仮に合意なき離脱となった場合、今後のEUとの関係が円滑にいくとは考えにくいでしょう。
EUからすればイギリスが抜けるのは影響が大きいですし、現在のEUを維持できなくなることに拍車がかかるだけなので良いことはありません。
フランスやドイツといったEUの中心国で反移民を掲げる勢力が躍進し、フランスの欧州議会選挙ではマクロン大統領が自ら支持を訴えたにもかかわらず敗北すると言う結果でした。
合意なく離脱となればEUとしての求心力は失墜し、イギリスに続く国が出てくる事を助長しかねません。メイ首相が辞任し、強硬離脱派のジョンソン氏が勝てば、EUにとって合意なき離脱を止めることは難しいです。
合意なき離脱を避けるにはイギリス側の条件をかなり飲むことになります。そうなれば加盟国からの反発は避けられなくなり進も退くもいばらの道です。
ジョンソン首相がもたらす今後のEUへの影響
ジョンソン首相が誕生した場合、合意なき離脱に至る可能性が高いと言われています。そうなると今後のEUへの影響はどうなるかというとEU自体の維持が出来なくなるのではないかと思います。
EUと言っても実態はドイツの一人勝ちですし、この現状に不満を抱いている国は少なくないでしょう。イギリスの合意なき離脱となれば、EUの中で個別でイギリスに接近する国も出てくるかもしれません。
現在のEUの方向性に対して反対している人が増えている以上、これまで通りのEUを継続することは難しいです。欧州難民危機以降、各地で反移民を掲げる政党が躍進しEUのあり方自体が問われている状況になっています。
ジョンソン氏による合意なき離脱を止めれないとEUはもはや機能していないと見なされるでしょう。フランスで反移民を掲げる国民連合が欧州議会選挙で勝利するなどEUは厳しい現実を突きつけられています。
これまでのEUの方向性を考え直す時が来ていると言えるでしょう。
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