欧州議会選挙で右派ポピュリスト台頭の理由は?今後EUはどうなる?

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政治

今回のテーマは欧州議会選挙です。イギリスのEU離脱で揺れるヨーロッパで欧州議会選挙が始まりました。

 

イギリスではメイ首相が辞任を表明し、議会がカオス状態になっている中での欧州議会選挙ですが、この選挙はイギリスだけでなくEU加盟国にとっても今後を左右する重要な選挙です。

 

5年に一度行われる欧州議会選挙ですが、今回の選挙は欧州難民危機以降で最初となります。前回は2014年と危機の前に行われていたのでさほど取り上げられることはありませんでした。

 

しかし、2019年の欧州議会選挙は難民危機で反移民感情がEU加盟国内で広がっている中で迎えることになり、EUにとっても試練の選挙となるでしょう。

 

この記事では以下の3点についてまとめてみました。

前回の欧州議会選挙

右派ポピュリストが台頭する理由

イギリス・フランス・ドイツの情勢について

 

欧州議会選挙でEUが今後どうなるのか、またEU加盟国内で右派ポピュリストが台頭する理由についてまとめてみました。

欧州議会選挙とは

 

欧州議会選挙は5年に1回行われる選挙で前回は2014年に行われています。2014年の時はギリシャの財政問題が発覚した影響で財政緊縮策ギリシャへの支援を巡って対立が激化していました。

 

2014年の時はギリシャが争点となっていたと言えます。2009年の秋に発覚したギリシャの粉飾決済によって欧州債務危機とも呼ばれる事態に陥り、EU内の格差が浮き彫りになりました。

 

企業の粉飾決済は報道でもたまに聞くことがありますが、国家単位での粉飾決済など前代未聞です。

 

2011年にはEUからの財政支援と緊縮財政の是非を問う国民投票を行う寸前までいくなどギリシャは大混乱に陥っていました。

 

前回の欧州議会選挙はギリシャの支援を巡る対立

 

2014年の欧州議会選挙はギリシャが最大のテーマであったと言っても過言ではありません。粉飾決済をしていたことは論外ですが、ギリシャを支援の為に多額のお金を投入することに対して各国の足並みは揃いませんでした。

 

自然災害などの不可抗力による危機と言うのであればまだしも、粉飾決済を行ってEU及びその加盟国を欺いていた国に対して追加のお金を出したいと思う人はいないです。

 

ギリシャ支援のために税金が増える可能性も当時は考えられていたようで、その負担率を巡る各国の対立もあったと言えます。

 

EUへの不満が広がる

 

2014年の欧州議会選挙の時もEUに対する不満の広がりはありました。ギリシャ支援や財政緊縮策などにより加盟国内では反EUを掲げる政党が出てきました。

 

フランスの国民戦線(現在は国民連合)はこの選挙で第1党となり、反移民を掲げる勢力が2014年の欧州議会選挙で躍進することになりました。

 

また、EUへの不満が高まった理由としてEUがギリシャの粉飾決済を見抜けなかったこともあります。粉飾決済をしたギリシャは大問題ですが、チェックする側のEUの監査体制も甘かったのではないかと思います。

 

欧州議会選挙で右派ポピュリストが台頭する理由

 

現在、投票が行われている欧州議会選挙ですが2014年の時と同様に反移民を掲げる政党の躍進が予想されます。2014年の時はギリシャの支援や財政緊縮策が争点でしたが、今回は移民が争点になりそうです。

 

2015年の欧州難民危機によりEU加盟国内で反移民を掲げる政党が支持を集めるようになり、イタリアでは反移民を掲げる5つ星運動が連立を組む形で第1党となりました。

 

反移民を掲げる右派ポピュリストが台頭する理由は何なのか考えると欧州難民危機で移民・難民が大量に流入したことによる混乱があったことでしょう。南ヨーロッパの国では大量の移民が通過したことで衝突もありました。

 

フランスでのテロ事件やドイツでの集団性暴行事件など治安の悪化によって移民の受け入れに不安を持つ人が増えたからであると言えます。

 

テロの原因になる移民の受け入れに対してNOを突き付ける人が増えたことが右派ポピュリストが支持される理由でもあります。ここではフランス・イギリス・ドイツの情勢を見ていきたいと思います。

フランスでは事実上の一騎打ち

 

フランスでは2019年の欧州議会選挙で国民連合のルペン党首vsマクロン大統領の事実上の一騎打ちの状態です。欧州の統合を目指すマクロン大統領とそれに反対するルペン党首の争いとなりそうです。

 

今月半ばに行われた世論調査ではルペン党首の支持率がマクロン大統領を上回ったという結果も出ています。最終結果は明日にならないと分かりませんが、マクロン大統領は相当追い詰められていることは予想が付きます。

 

その理由としてマクロン大統領自らが欧州議会選挙戦に参加していることです。これまで大統領は欧州議会選には関わっていなかったようですが、今回は現政権が出した成果を主張するなど自らの選挙と同じような感じでPRを行っています。

 

2015年のフランスの州議会選挙では国民連合の勢いを止めれないと判断したのか、社会党が共和党へ選挙協力を行ったことで共和党に社会党の票が流れることになりました。

 

結果的に国民連合は敗北しましたが、選挙協力が起きるほど強力な政党になっていたと言えます。

 

2019年の欧州議会選挙は国民連合にとってリベンジマッチとも言える戦いです。世論調査ではわずかながら支持率でマクロン大統領を上回っていますが拮抗している状態です。

 

もし、国民連合が勝利すればフランスでも反移民の考えが支持されていることを証明すると同時にマクロン大統領の求心力の低下も証明します。

 

ドイツと並んでEUの中心的な国とも言えるフランスで反移民を主張する国民連合が勝利すれば今後、EUの機能不全に繋がりかねないことです。EUでの指導力も失うことになるのでマクロン大統領にとっては決戦とも言える選挙です。

 

イギリスは新党のブレグジット党が勢力拡大

 

EU離脱を巡ってカオス状態のイギリスですが、欧州議会選挙ではEU離脱を主張する新党ブレグジット党が世論調査でトップの支持率を獲得しています。

 

2大政党である保守党と労働党を合わせてもブレグジット党の支持率に及ばないなど2大政党の衰退が明らかとなっています。

 

ブレグジット党はイギリスの早期EU離脱を掲げているので欧州議会選挙で支持を得ることが出来れば、イギリスのEU離脱に向けて大きな力を得ることになります。

 

EUからすれば、ブレグジット党が勝つことは最悪の事態とも言えるでしょう。EU残留を求める声がイギリス国内でも大きくなっている中での離脱を主張する政党の支持率アップは脅威でしかありません。

 

ドイツでも反移民を掲げる政党が躍進中

 

EUの盟主とも言えるドイツでも反移民を掲げるAfD(ドイツのための選択肢)が国内で躍進しており、今回の欧州議会選挙でどこまで議席を取れるか注目です。

 

昨年行われたドイツ州議会選挙でメルケル政権の本拠地とも言えるバイエルン州で議席を獲得するなどドイツ国内での支持が強くなっています。バイエルン州の後に選挙が行われたヘッセン州でも議席を獲得することに成功しています。

 

ドイツで反移民を掲げるAfDが議席を獲得しているというのは欧州難民危機で人道的支援がドイツ国内を混乱に陥れたと考えているドイツ国民が多いということです。

 

ドイツの事件は移民・難民が多く事件に関わっていたこともあり移民に対する憎悪が大きかったと言えます。移民を受け入れるということはその中にテロリストが紛れ込んでいることも十分に考えられます。

 

フランスと同様にドイツでも反移民を掲げる政党が躍進していることはEUの存続にかかわる問題です。

 

欧州議会選挙で今後EUはどうなる?

 

欧州難民危機により反移民感情がEU加盟国内に広がっている状態の中で欧州議会選挙が行われることになりましたが、今回の選挙はEUの存続の影響すると考えれます。

 

フランス・ドイツで反移民政党が勝利すれば、EUの統合に赤信号が点灯しかねない状態になります。EU中心国で反移民感情が広がっているとなるともはやEUは組織として機能しません。

 

イギリスに続く離脱国が出てくる可能性もあります。今回の欧州議会選挙はフランスの結果が一番重要になるのではないかと思います。もし、現大統領のマクロンが負ければEUの統率力が落ちることを意味します。

 

EU的にはフランスでマクロン大統領が勝利することが絶対条件となるでしょう。オランダやアイルランドでは現在のところ、親EU派が出口調査の結果リードしているようですがどうなるかは不明です。

 

 

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