数時間前に政治家の山本太郎が新政党「れいわ新選組」を結成し、政策の一つとして最低賃金1500円の政府保証を掲げました。夢のような政策ですが、政府保証と言うワードが気にかかります。
この記事では以下の点について考えてみました。
・最低賃金1500円政府保証の課題
・韓国の失敗例
・最低賃金1500円政府保証の財源について
夏の参議院選挙でれいわ新選組はどのような影響を及ぼすかも気になります。
れいわ新選組の公約「最低賃金1500円政府保証」の課題
れいわ新選組が掲げた公約の中には実現すれば、素晴らしい政策だと思えるものがあります。
その中の一つに「最低賃金1500円政府保証」という公約が存在しています。時給1500円が保証されるというならば、非常に魅力的な政策です。
ただ、最低賃金を1500円に統一しようするのは簡単ではありません。
現段階でも把握できる大きな問題が2つあります。この2つの問題を解決することが出来なければ最悪の結果を招くだけです。
都道府県によって異なる最低賃金
日本の最低賃金は都道府県によって異なり、都会ほど高く、地方に行くほど安い傾向があります。首都圏であればアルバイトで時給1000円以上と言うものは珍しくないことです。
最低賃金1500円というのは私の住んでいる場所の最低賃金の1.7倍以上はあります(;^_^A
2018年の東京都の最低賃金が985円です。東京で最低賃金が1000円に届いていないのに1500円に引き上げるとなると雇用側からすれば大幅な人件費上昇です。東京で最低賃金が1.5倍になるのですから、地方に行けば2倍近くになる場所もあります。
人件費の急激な上昇
時給1000円でアルバイトを雇っている場合、単純に人件費が1.5倍になるのですから増えた分の人件費によって利益は減ります。
1時間1000円でアルバイトを雇用している場合、8時間労働すると8000円の日給になります。
しかし、最低賃金が1500円になると8時間労働すると12000円の日給です。時給1000円のお店で1人当たり人件費が4000円上昇するので人件費は1日当たり4000円×出勤したアルバイトの人数分増えることになるのです。
アルバイト全員が8時間労働するわけではありませんが、1人当たり1.5倍の人件費がかかることになるのでこれまで通りの営業方法では経営できなくなります。
そうなると雇用側が雇用を抑制するor商品の値段を上げるという手段に出ることが予想できます。
最低賃金1500円政府保証の現実は雇用と経済崩壊?
賃金が上昇するのは労働者からすれば嬉しいことです。しかし、物事を急激に変化させることは必ずしもプラスになるとは限りません。
最低賃金を急激に上昇させた韓国の文政権がその事例です。韓国の文政権による最低賃金の大幅な上昇は経済を破壊し雇用の喪失を生み出すと言う現実があります。
韓国で経済悪化による雇用の減少
人件費の上昇に伴い、利益が減少するとなると企業は改善策の1つとして雇用を抑制しようと考えます。
雇用を抑制するということは失業率が上がることに繋がります。今の韓国経済がその事例です。文政権が強引に大幅な賃上げを推し進めたことで企業が雇用を抑え、若い世代の失業率が悪化することになりました。
また、韓国国内では人件費の高騰によって経営が出来なくなり倒産する企業も増えているのが現実です。倒産した企業に勤めていた人は職を失い、路頭に迷うことになっているのです。
商品の値上げに伴う客足離れで経済崩壊への道
では商品の値段を上げた場合どうなるでしょうか?増税や外的要因によるものなら受け入れられるでしょうが、人件費高騰の為の値上げは消費者に受け入れられないでしょう。
値上げによって消費者の購入意欲が下がり、店の売上も下がるのが現実です。韓国経済の状態が悪いので消費者は節約志向に走るので財布のひもは固くなります。
人件費上昇による商品の値上げ⇒店の売上減少⇒従業員のリストラ⇒倒産
負の連鎖が止まらなくなり、倒産するというのが現実です。
最低賃金1500円政府保証の財源はどこ?
山本太郎は最低賃金1500円を考えているようですが、どのぐらいを政府が保証するのでしょうか?東京で時給1000円のお店があれば差額分の500円を政府が負担するのでしょうか?
さすがに「1500円ー現在の各都道府県の最低賃金」を引いた額全てを政府が保証するとは思いませんが47都道府県全てに適用するとなると莫大な費用が掛かります。
最低賃金1500円の政府保証を実施するための財源はどこにあるのでしょうか?毎年、国債を発行している状態であることを理解しているのか疑問です。
最低賃金1500円の保証の為に税金を投入するにしても足りるのでしょうか?国民の税金を投入しても足りなかった場合はどうするのでしょうか?
公約で消費税廃止を掲げている以上は増税は公約違反になります。時給1500円が保証されれば人手不足の問題もかなり改善はされるでしょう。
しかし、大幅な最低賃金の上昇は現在の韓国のような雇用崩壊による失業率増加と経済崩壊を招くのは目に見えています。それでも大幅な賃上げを一気にやるつもりなのでしょうか?
最低賃金の上昇は賛成ですが、ある程度段階を踏んで行わないと混乱が生まれるだけです。賃上げによる待遇改善は必要ですが、急激に推し進めることには反対です。
ただ、最低賃金の上昇は47都道府県で今後もする必要はあると思います。人手不足は労働に見合った給料を払っていないから起きている問題です。
最後に
ブラック企業やブラックバイトというワードが誕生したのは労働に対する給料が見合っていないという声が表面化したのが背景にあると言えます。ここ最近、起きているバイトテロとも無関係とは言えないでしょう。
政府保証というのが1500円の最低賃金の中でどのくらいの割合を占めるのでしょうか?単純に東京で約3割負担になることを考えればそう高く設定できないはずです。
「れいわ新選組」の他の公約を見ても注目を集めそうなものが揃っていますが現実的に考えてどうなのかなと思うのが正直な感想です。
2009年に誕生した民主党政権の前例があるだけに抵抗がある人も多いと思います。理想的な事だけを言って中身が伴わないのが予想できます。参院選の為のパフォーマンスと思われるのが筋ではないでしょうか?
「最低賃金1500円政府保証」と言うよりは「2022年から全国平均で最低賃金1000円を目標にする」と言う方がまだ現実的ではないでしょうか?2022年と言うのは例ですが、あまりにかけ離れたことを言うのは無謀です。
政府保証で最低賃金を1500円にすると公約で掲げるのは勝手ですが、現実的でないと思われるのが筋だと思います。
コメント