こんばんは。今回は奨学金の返済を巡るトラブルについて書いていこうと思います。
現代では大学の進学率が昔に比べると大幅に良くなり、高校を卒業して大学に進学し、就職活動を行うことが当たり前のような時代になりつつあります。
大学進学率が向上した背景には奨学金制度の普及が大きく影響しており、現在では大学に進学する2.6人に1人が奨学金を受給しているというデータもあります。保証人を付けることで進学に必要だと思う費用を奨学金として受け取ることが出来るのです。
奨学金は保証人制度を利用した支援制度ですが、受給している人が返済できなくなった場合に保証人となった人に請求が行くという特徴があります。
保証人制度には人的保証と機関保証の2つが存在し、前者は親族などに保証人になってもらうことで、返済できない状態になった際に保証人に請求が行きますが返済できている場合は特に何も起こりません。
後者は一定のお金を払うことで保証機関が保証人となってくれる制度で親族などに頼む必要もありません。ただし、毎月保証料を支払う必要があるので奨学金の受給額が減ることが考えられます。
奨学金制度を利用することで授業料や生活費などの負担を軽減できるので借りる学生からすれば有難い制度のように思えますが、奨学金は卒業後に返済が始まるということを本当に理解している人がどのくらいいるのでしょうか?
当然、借りたものは返さないといけませんが、奨学金の返済を巡っては受給する側の認識の甘さが後に経済的に追い詰められることに繋がるケースが多く存在します。
奨学金の返済方法を理解していなかった場合、想定以上の毎月の返済によって経済的に困窮してしまい破産するリスクがあることを自覚しないといけません。
奨学金の返済が出来なくなるのは受給する側の認識の甘さが指摘されており、大学卒業後の返済プランなどを考えず、「取り合えず奨学金を借りる」という手段が広がっているのではないかと推測されます。
一方で奨学金を支給する日本学生支援機構の返済方法の説明が不十分ではないのかという声も上がっているようです。
今日の朝日新聞の記事です。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181101-00000007-asahi-soci
記事では人的保証制度を利用した場合で借りた本人と連帯保証人が支払えない場合に民法で定められている分別の利益の説明をしないまま請求していることに問題があると指摘しています。
確かに奨学金制度に対する知識があまりない一般人に対して説明もなしに回収しようとするのは倫理的にどうなのかと思います。
自分の会社で発売している商品の保証について例外である場合の説明をしていないことと同じですよね。「一部、保証の対象外となる部分があります」というような説明をしないまま、そのパターンで持ってこられた場合はクレームを受けます。
コンプライアンスが重視される現代で不利益を被る場合や軽減できる場合の説明をしていないのは相手の立場を考えていないと思われます。
特に奨学金というお金が関わってくると訴訟問題にも発展しかねません。奨学金の返済が出来なくなったことで借りた本人の自己破産だけでなく親子破産という事例も発生しています。
奨学金が原因となる破産が増えている現在、日本学生支援機構も奨学金を借りる際に返済プランの計画や経済的に困窮した際のリスク管理方法などを受給者に対して説明するべきだと個人的に思います。
受給の際に丁寧に説明しておけば、奨学金のリスクについて受給者は考えることになるので返済の滞納の防止にも繋がります。
その一方で奨学金利用者が増えていることで個別の説明にまで手が回らないという問題も存在しており、奨学金のリスク管理の浸透はそう簡単にはいかないようです。
リスク管理の浸透方法として大学の奨学金説明会でリスク管理について説明を丁寧にすることやパンフレットを同封することが挙げられます。
説明会でリスク管理の資料を配布してパワーポイントを活用した説明をすれば資料は見ますし、より視覚的に理解できるようになるはずです。
日本学生支援機構もできる限りの対応策は打つべきでしょう。返済の滞納が増えると奨学金というシステムが成り立たなくなるので、そうなれば死活問題です。
また、奨学金という名前を考え直すべきだとも思います。実質的に奨学金=借金なので他の名前を用いるべきではないでしょうか?学生ローンなどの方が意味的には近いと思えます。
ただ、受給する側も奨学金は返さないといけないという意識を持つべきです。世の中無償でお金を貸してくれるような機関はありません。お金を借りるということはリスクを背負うことです。
大学卒業後に返済で困らないように借りた本人や家族で奨学金について話し合うことも大事だと思います。私の場合は家族で奨学金の返済について意見を出し合いました。
奨学金の返済による破綻リスクを回避するには受給する側とされる側のそれぞれで対策が必要です。保証人や連帯保証人も含めて奨学金のリスク管理は共有するべきです。
保証人制度の内容や奨学金を返済できない場合の破産リスクや対処方法など予想されるトラブルについては事前に対策を立てることはできます。
借りた本人が返せず、保証人・連帯保証人も返せないとなると共倒れになる危険性もあります。人的保証制度を利用する場合は必ず奨学金のリスクについて話し合い、保証人・連帯保証人になる人は覚悟を持って署名するべきです。
保証人制度によって奨学金の返済請求が届く可能性は少なからず受給者全員にあるので、家族・親族間でトラブルにならないように返済方法や破産リスクを共有するべきです。
コメント